マイホーム計画において、避けて通れないのが「住宅ローン」の選択です。
これまでは「35年返済」が一般的でしたが、近年、20代・30代の方を中心に「50年返済」という選択肢も現実味を帯びてきました。
「借金は早く返すべき」という意見もあれば、「低金利を活かして手元資金を残すべき」という意見もあります。
さらに新NISAの登場により、「あえて長く借りて、浮いたお金を運用する」という選択肢も注目されています。
一体、どちらの選択が「正解」なのでしょうか?
今回は、4000万円借入時のシミュレーションを行いました。
先に申し上げておくと、この問題に万人に共通する単純な答えはありません。
数字を見ながら、皆さんの価値観と照らし合わせて考えてみてください。
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1. 「月々のゆとり」か「総額の安さ」か
まずは、資産運用などを考慮せず、純粋な返済額の違いを見てみましょう。
【試算条件】
• 借入金額:4,000万円
• 金利:1.0%(全期間固定と仮定)
• ボーナス払い:なし

結果は明確なトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)です。
• 35年ローン: 毎月の負担は重いが、支払う利息総額は少ない。
• 50年ローン: 毎月の負担は軽いが、支払う利息総額は多い。
「利息を340万円も多く払うなんて馬鹿らしい」と感じる方もいれば、「月々3万円近く浮くなら今の生活が楽になる」と感じる方もいるでしょう。
まずここが第一の分岐点です。
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2. 「もしも」浮いたお金を運用できたなら
次に、最近議論されることが多い「50年ローンで浮いた月2.8万円を、新NISAで運用したらどうなるか」というシミュレーションを見てみます。
これはあくまで「計算上」の話であり、将来を約束するものではありませんが、一つの可能性としてご覧ください。
比較のタイミングは、**35年ローンの人が完済した瞬間(35年後)**とします。
シミュレーション結果:35年後の資産状況

※残債は35年経過時点のものです。運用益は非課税、手数料等は考慮していません。
計算上は、50年ローンで長く借り、その期間中に運用がうまくいけば、増加した利息負担を補って余りある資産が築ける可能性があります。
なぜこうなるかというと、「借入金利(1%)」よりも「運用利回り(3〜5%)」の方が高い状態が35年続くと仮定しているからです。
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3. 数字には表れない「リスク」と「心理」
シミュレーション結果だけを見れば、「50年+運用」が経済合理性に優れているように見えます。
しかし、現実はそう単純ではありません。この数字の裏には、無視できないリスクや心理的な負担が隠されています。
50年ローン+運用の落とし穴
• 「絵に描いた餅」になるリスク
シミュレーションはあくまで仮定です。35年後、世界経済がどうなっているかは誰にも分かりません。運用利回りがマイナスになり、資産が減ってしまうリスクも当然あります。
• 50年間、借金を背負う精神的負担
「まだローンが残っている」という状態が、定年後まで続くことになります。これは数字では測れない精神的な重圧となる可能性があります。
• 完済年齢の壁
多くの金融機関で、完済時年齢は80歳未満などの制限があります。そのため、50年ローンは実質的に20代〜30代前半の方に限られた選択肢となります。
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4. あなたはどちらのタイプ?
結局のところ、この選択は「どちらが得か」という計算を超えて、あなたの「人生観」や「お金に対する哲学」の問題に行き着きます。
A:35年ローンが向いているかもしれない人
• 「借金=悪・リスク」だと感じる。
• 将来の不確実な利益よりも、現在の確実な安心感が欲しい。
• 定年退職までにローンをきれいに終わらせて、老後はすっきりした気持ちで迎えたい。
• 投資の値動きに一喜一憂したくない。
B:50年ローン+運用が向いているかもしれない人
• 「借金=資産形成のツール」だと割り切れる。
• リスクを取ってでも、将来の資産を最大化することに挑戦したい。
• 現在の生活費や教育費にゆとりを持たせたい。
• 借金が長く続くこと自体にはあまりストレスを感じない。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
「35年で確実に完済を目指す道」と、「50年かけてリスクを取りながら資産形成を狙う道」。
経済的なシミュレーションでは後者が有利な結果が出やすいですが、人生には「安心感」や「ストレスフリー」といった、お金に換算できない価値もあります。
どちらの道が幸せになれるかは、お客様ご自身の価値観、家族構成、将来のキャリアプランによって全く異なります。
大黒建設では、お客様がこの難しい選択をするための「判断材料」を提供いたします。
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